ITEMS: 【タンナー(革工場)紹介】馬革は何故硬い?ピット鞣しとは?
STRUMの顔になりつつある「フルタンニン ピット鞣し シュリンクホースハイド」
馬革の生きた証である「傷」とシュリンクによる「シボ」が融合し、製品染めとはまた違った無骨でインパクトのある表情を持った革。
今回はその「フルタンニン ピット鞣し シュリンクホースハイド」を作っているタンナー(革を作る工場)をお見せしていきたいと思います。
馬革は何故硬い?
一般的に「馬革は硬い」というイメージがあるかと思います。
これには理由があり、馬は牛と違い運動量が格段に多い動物で、そのため革に傷がとても多いのですが、傷を隠すために厚く顔料をのせているので「硬い」というイメージが定着しています。
STRUMの「フルタンニン ピット鞣し シュリンクホースハイド」は馬革本来の傷を活かしており、顔料を使わずに「ピット鞣し」という技法を使って柔らかく仕上げています。
馬の原皮。原皮の状態だと生きていた面影が感じられます。原始時代から続く、食べたりして残ったものを有効に使って行くという事の大切さ。革ジャンは特別に大切にしたり捨てられなかったり、根本はこういった所にあるかと感じるくらい独特のパワーを感じさせます。
ピット鞣しとは?
ピット鞣しとは、元来ベルトや靴底など硬いものを鞣す鞣し方で、ピット鞣しで鞣された革は使えば使うほど味が出る「革らしい」革の鞣し方。
タンニン剤が入った巨大なお風呂のような「ピット槽」という設備を使って、長い時間をかけて鞣します。
「ピット槽」を持つ工場は日本に3つしか無く、STRUMのピット鞣しは、財布や靴などの革を作っている有名タンナーに依頼。
濃度が違った槽をいくつも用意し、1ヶ月かけて繰り返し漬け込む事でじっくりとタンニン(植物の渋)を皮の深層部まで染み込ませ「皮」から「革」へと変化させる、手間のかかった鞣し方です。
生前の傷を活かすシュリンク
ピット鞣し完了後、加工場でオイルやワックスを入れて仕上げをします。
わざと傷が多い革を集めて、その傷を革本来の表情として革ジャンに落とし込むために、熱を入れて縮めています。
元々馬革は2mくらいの大きさですが、この加工により半分程まで縮めることで、ゴツゴツとしたシボ感が出て、その表情と傷が合わさり独特の表情を作り上げています。
シュリンクホースハイドを使った革ジャン
シュリンクホースハイドを使った財布や小物
シュリンクホースハイドは一般的な馬革より柔らかい革ですが、財布やバッグ、ブーツなど小物にも相応しい素材です。特に財布は生前の傷やシュリンクの風合いがロングウォレットと良い相性です。
YouTube動画で同じ内容を解説していますので、動画でご覧になりたい方は下記よりご覧くださいませ。