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ITEMS: コードバンとは?製作工程や短所を徹底解説【革のダイアモンド】

 

【革のダイアモンド】「コードバン」

「コードバン」を使った財布や靴など、日常で見かけた事があるかと思いますが、そもそも「コードバン」とは何か?その特徴から出来上がる工程まで、このページで解説致します。

「コードバン」とは?

革に詳しい方は、馬のお尻部分の革だということはご存じかと思います。

馬革のお尻の部分からメガネのような形をした部分が取れますが、その部分を使った革を「コードバン」と呼びます。

写真の通りツルツルとした質感なので「銀面」という革ジャンでよく使われる表面だと思っている方が多いのですが、「コードバン」は裏面のスエード面(床面)を加工して仕上げます。

皮膚組織の内部にある厚さわずか2mm程度の「コードバン層」と呼ばれる繊維が硬い部分だけを削り出したものが「コードバン」です。

スエード面(床面)というと 毛羽立っているイメージがあるかと思いますが、これは繊維が重なり合ってスエード面を形成しています。

しかし「コードバン層」は繊維が真っ直ぐに並んでいて硬くなっている部分があり、その部分を丁寧にバフ掛けをする事により、写真のようなキメ細かな美しい艶を持った表情となります。 

希少価値が高いのはなぜ?

革は基本的に食用の副産物で作られている物です。

牛よりも馬の方が食用として使われることが少ないので、馬革自体が少ないということが前提にあります。

その中でもお尻部分の一部を使うので、一頭から取れる量が少ないので希少性が高いと言えます。

また、馬の中でも野生の馬は肉食動物に襲われたときに深手を負わないようにお尻の組織が強くなっていると言われています。

一方で外的に襲われることのない競走馬は進化の過程でコードバンを持たなくなり、家畜の馬もコードバン層がほとんど存在しない個体もいるそうです。

こういった事情により「コードバン」希少価値が高い革となっています。

コードバンが出来上がるまで

馬のお尻部分だけを選別したもの

トリミング〜鞣し〜オイル入れ

生革の状態でトリミングをして、一度タイコと呼ばれる大きな木製の樽のような形をした容器が回転する機械装置で鞣してから、更にピット槽に付けて鞣します。

その後、もう一度オイルを入れて柔らかくしています。

コードバンの生革


タイコの内側にはツノ(ダボ)と言われる20cm〜30cm程度の突起物がいくつもあり、タイコが回転する事で、ツノに皮が叩きつけられ、タンニン剤や染料が浸透していきます。


この様な大型の「ピット槽」を持つ工場は日本に3つしかないと言われています。ピット鞣しについて詳しくはこちら

乾燥〜バフ掛け

クラストという鞣したままの状態で吊るして乾燥させます。

 

干し終わって乾かした後のコードバン。鞣して乾いた後なのでニベがあったりと荒い感じがします。これからこの面にバフ掛けをして削り、コードバンの状態に近づけて行きます。

グレージング

バフ掛け後は「グレージング」と呼ばれるガラスの棒で擦る作業を行うことで、繊維の部分を潰して平らにします。

この作業により、皆さんが知っているキラキラとした光沢のある革に仕上がります。


グレージングを行う作業台。奥のガラスの棒で擦って表面を潰します。 


手作業でローラーが革全体に行き渡るように作業します。こうやって一枚一枚手を掛けて、仕上げて行く工程を見ると、普通の革より高価な革であることが理解出来ます。

グレージング前
グレージング後

STRUMが利用している工場では「フルタンニンピット鞣し」を行なっているため、グレージングで光沢がしっかりと出ます。この状態から更にワックスなどを塗って仕上げることにより、美しい艶と強度を持った「コードバン」が誕生します。

「革のダイアモンド」

以上のように鞣しだけでも数ヶ月かかり、仕上げも含めると時間と手間がかなりかかる革です。

これだけの工程を経て、美しい光沢があり、傷もなく綺麗な鏡面のような状態になるので、「革のダイアモンド」「革の宝石」と呼ばれています。

コードバンの弱点

「コードバン」はスエード面(床面)なので若干「水に弱い」性質があります。

水に濡れるとポコポコと水の後が膨れたり、引っ掻いたりすると毛羽立ったり、割と繊細な革です。

しかし、しっかり使っていくとかなり味が出て、革好きにとっては使いごたえのある革というか、育て甲斐のある革だと思います。

「水に弱い」という弱点をフォローするために上からワックスを塗って撥水性を持たせたり、ランドセルなどには子供が6年間、毎日雑に扱えるように上から顔料を乗せて強度を強くしたりして作られています。

エイジングについて

表革と基本は一緒(光沢が出て色が濃くなって行く)ですが、表革に比べて光沢が凄く出やすく、わざと何かを塗って光沢が出るのではなく、元々、革本来の光沢が出ているのでエイジングが楽しめる革です。

 

 

YouTube動画で同じ内容を解説していますので、動画でご覧になりたい方は下記よりご覧くださいませ。