Collection: Leather care by leather jacket professionals [recommended oils].
革ジャンに携わって20年以上、毎日革を触って、毎日革を加工して来たプロの目線からのオイルメンテナンスについてお伝えしたいと思います。
STRUMの革ジャンのメンテナンスについて
まず、STRUMの革ジャンについては染める時、鞣す時にしっかりとオイルを入れて、着れば着るほどオイルが滲み出てくるという鞣し方をしておりますので、基本的にはオイルなどのメンテナンスは必要ありません。
一般的な革ジャンのメンテナンスについて
革ジャンメンテナンスのオイルの効果とは?
メンテナンスと言えば「オイル」ですが、その「オイル」の効果は下記の3点です。
・革に栄養を与える
・革を柔らかくする
・オイルの種類によって効果は様々だが多少の撥水性が生まれる
革ジャンメンテナンスのオイルの種類とは?
沢山ある革ジャンオイルの中で、そのオイルの種類はどうなるか?
大きく分けると2種類あります。
- 動物性オイル
- 植物性オイル
2種類に分けられる「動物性オイル」と「植物性オイル」。
それぞれの特徴をご紹介致します。
■動物性のオイルの代表的なもの
- ミンクオイル
- 馬油
- ニートフットオイルなど
動物由来の油を使用したオイルのことを「動物性オイル」と言います。
■植物性のオイルの代表的なもの
- アマニ油
- ホホバオイルなど
植物の種から抽出したオイルのことを「植物性オイル」と言います。
動物性オイルの特徴
物にもよりますが、粘度が高いドロっとしたオイルが多くあります。
特徴としては元々動物の革なので、動物性のオイルの方が馴染みが良く、馴染みが良いということは柔らかくなりやすいということになります。
オイルが抜けてしまってパサパサになってしまっている革ジャンや、長年着ていなかった革ジャンなどには、動物性のオイルを入れることで、栄養を与えて革ジャンをまた柔らかくして、ヒビ割れを防止する等の効果があります。
動物性オイルのデメリットとは?
動物性のオイルにもデメリットがあり、動物性ということもありニオイが強かったりします。
よくあるイタリアの革等で独特のニオイがする革があるかと思いますが、魚の「タラの油」を使っていることが多くあります。
「タラの油」は馴染みが良く柔らかくなり、すごく良い質感になりますがニオイが強くなることがデメリットです。
また、動物性のオイルはカビの栄養にもなってしまうので、沢山塗ってしまうとカビの生えやすい状態になってしまいます。
何度でも後から塗りなおせるので、塗る時はなるべく薄く塗って定期的にメンテナンスをすることがオススメです。
植物性オイルの特徴
植物性オイルの特徴は、動物性オイルと違い割とサラッとしていて粘度が低いと言えます。
このオイルは塗ると動物性のオイルと比べて柔らかくなり辛いですが、革にしっかりと栄養を与えてくれるので、ダメージの少ない革ジャンの日々のメンテナンスには、植物性オイルがニオイも少なく向いていると言えます。
植物性オイルのデメリットとは?
動物性オイルも同じですが、オイルが多くなるほど色落ち(移染)しやすくなります。
オイルを塗る時には目立たない所でテストをし、少しずつ塗るようにして下さい。
また、植物性のオイルも環境が悪いとカビの原因になります。
こまめに汚れを取ってあげる事と、風通しの良い場所に保管するようにしましょう。
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それらを踏まえた上での市販のケアオイルオススメは?
まずは市販のケアオイルを1つずつ見て行きましょう。
■Renapur Leather Balsam(ラナパー レザートリートメント)の解説
レザーのメンテナンスと言えばドイツ製のラナパーが有名です。
【成分】
・ミツロウ(蜜蜂の巣の蝋)
・ホホバ油(植物ホホバの種由来)
・ワセリン(石油系成分、化粧品にも使われる優しい成分)
・ラノリン(動物性のWAX)
基本的にはトリートメントということで、WAXも入りながらオイルも入る全体的にバランスの良いケア用品と言えます。
使用した感じでは、オイル感が強いのが特徴です。
■TAPIR LEDERBALSAM(タピール レーダーバルサム)の解説
基本靴にも使えるオイルで顔料が入っています。
【内容】
・ミツロウ(蜜蜂の巣の蝋)
・シュガーケーンWAX (さとうきびを原料としたWAX)
・シェラックWAX(東南アジアの虫分泌の樹脂の成分を抽出)
・キャンデリアWAX(メキシコの植物由来のWAX)
・カルナバ蝋(STRUMでもたまに使用するブラジルのヤシの実から取れるWAX)
・ひまし油(アフリカ産のひましの種から取ったオイル)
・オレンジテレピンオイル(オレンジの革から抽出したオイルでオレンジの良いニオイがします)
基本的には植物性のオイルやWAXが入った、天然由来のものばかりを使ったケア用品で、良いオイルと言えます。
使用した感じでは、WAX感が強いのが特徴です。
■TARRAGO(タラゴ)の解説
スペイン製で、基本ミンクオイル100%ですが、個形状にするためにワセリンを混ぜた製品です。
【内容】
・ミンクオイル
・ワセリン
ミンクオイルの中では匂いやベタつきも少なく、使い易いオイルだと思います。
個形状になっているのでムラなく塗りやすく、水や傷から守る効果もあります。
■Fiebing's Neatsfoot Oil(フィービング ニートフットオイル)の解説
100%牛脚油(牛の脚の骨から取った油)のオイルです。
【内容】
・100%牛脚油
独特の匂いがありますが、革へのなじみは抜群です。
革を柔らかくしたい時や、油分の抜けたダメージの強い革への栄養補給に最適です。
実際に日々のメンテナンスには「動物性」「植物性」のどちらがオススメ?
長々とオイルの説明をしましたが、結局「動物性」「植物性」どちらがオススメなの?と思いの方が多いと思います。
STRUMデザイナーがオススメするのは、日々のメンテナンスに関しては「植物性」のオイルで十分かと思います。
実際に2種の「植物性オイル」をSTRUMデザイナーが10年程着用している革ジャンで比較します。
オイルを塗る前に重要なこと
まずはオイルを塗る前に大前提として、オイルを塗る前に「革ジャンをキレイにすること」が重要です。
まずはブラッシングをして全体についたホコリや汚れをしっかりと落とします。
次にタオルを濡らしていただいて、水が出なくなるまでギュッと固く絞っていただき拭いてください。
(汚れが着いていると菌が付着するので、なるべく清潔なタオルでお願いします)
汚れが気づかないうちに食べ物が飛んでいたり、色んなものが付着していたりするのでなるべく細かく拭いてください。
(ポケットの周りも入念に)
特に首周りなど肌に当たる場所は念入りに拭き上げます。
吹き上げたあとは、固くし絞ったタオルでも水気が残るので、30分ほど日陰干しをしてください。
「Renapur Leather Balsam」の場合
Renapur Leather Balsam(ラナパー レザートリートメント)で試します。
固形で植物性なのでニオイは気になりません。
スポンジが付属しているのですが、あまりダメージがない状態で日々のケア程度だと表面に薄く塗る程度で大丈夫なので、手で塗り込むのがオススメです。
軽く手に取り手のひらの体温で溶かして、浸透させることだけを目安に、揉み込むように塗ると全体的に馴染ませることが出来ます。
オイルで加工しているようなものなので、塗れば塗るほど光沢は無くなっていきます。
その変わり柔らかくなって革に栄養が与えられますが、塗りすぎると表情や質感が変わってしまったりするので、片腕で「大豆一個分くらい」がオススメです。
マットな雰囲気にはなりますが、オイル以外にミツロウが入っており、ブラッシングするとWAX効果でツヤが出るので、全体的に塗り込んだあとは全体的にブラッシングすることをオススメします。
結果として、Renapur Leather Balsam(ラナパー レザートリートメント)は浸透性が良く、かなり柔らかくもっちりとした仕上がりになります。
撥水性も割と生まれ、気軽に革ジャンを着たい方には水を弾くのでオススメです。
「TAPIR LEDERBALSAM」の場合
TAPIR LEDERBALSAM(タピール レーダーバルサム)で試します。
固形でニオイはすごくオレンジのニオイがしますので、レザーオイルの独特なニオイが苦手な方も気にならないかと思います。
「Renapur Leather Balsam(ラナパー レザートリートメント)」より手のひらでの溶けが速く、柔らかくサラッとした印象です。
同じように手で揉み込んで仕上げたところ、オイルの手触り的には溶けが速く感じ、表情はマットな雰囲気になりますので、浸透性は「Renapur Leather Balsam(ラナパー レザートリートメント)」と同じく良いと言えます。
揉み込み後にブラッシングをすると、光沢がしっかりと出る感じで、オイルというよりはWAX感が強い気がし少しベタ付きますが、乾いてくるとサラッとして「Renapur Leather Balsam(ラナパー レザートリートメント)」より光沢が出ます。
撥水性も「Renapur Leather Balsam(ラナパー レザートリートメント)」と同じく水が浸透せず、そこそこの撥水性が生まれました。
総評
「Renapur Leather Balsam(ラナパー レザートリートメント)」の評価
「Renapur Leather Balsam」の方がオイル感が強いというか、粘度も強いので革ジャンに塗った時にしっとりマットな雰囲気に仕上がり、ブラッシングをするとミツロウが入っているので適度な光沢感が出ます。
水にジャブジャブに浸かってオイルが抜けた場合や、ダメージが強いものに関してはこちらのオイルを塗っていただくと、油分が強い分しっかりと栄養補給ができ柔らかく元に戻す力があるかと思います。
「TAPIR LEDERBALSAM(タピール レーダーバルサム)」の評価
「TAPIR LEDERBALSAM」は手のひらの溶け感的にサラッとした雰囲気なので、しっとりというよりは革に少し栄養を与える、少し柔らかくなるかなという雰囲気です。
STRUMデザイナー的には日々のメンテナンスではこちらで十分ではないかという見解です。
最後に
冒頭でもお伝えしましたが、STRUMの革ジャンについては染める時、鞣す時にしっかりとオイルを入れて、着れば着るほどオイルが滲み出てくるという鞣し方をしておりますので、基本的にはオイルなどのメンテナンスは必要ありません。
しかしながら突然の雨や、革ジャンを常にケアしたい方の為にこの記事を作成致しました。
この記事が革ジャンユーザーの目にとまること、革ジャンユーザーの参考になること願い締めとさせていただきます。
STRUMでは革ジャンの本質を見極めつつ、「燃焼を経験した革ジャン」や「土に埋めた革ジャン」など未だかつてない革ジャンの制作に挑戦しています。
STRUMMERの皆様、初めましての方も、是非ともSTRUMの物作りを見守っていただけたと思います。
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